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日露国籍問題-国籍確認訴訟から見えてくる国籍法11条1項の問題-

コメント#58-日露国籍問題―実録、帰化手続のインタビュー(1)ー

 

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    元記事 ↑↑↑ を必ず参照してくださいね~。この記事は元記事の続編です。右側の月別アーカイブ「2017」のところをクリックして日付順に読むと理解しやすいと思いますョ。

 

 ゴールデンウィークが始まりました。普通の零細企業の経営者にとっては悪夢の10日間だ。今年は月の1/3に亘って収入が無い。ゴールデンウィーク後に経済が下振れしなければいいのだか。。。

 それでは本題に入ろうかな。5月9日に帰化書類一式が受理されたことは前回までのブログで報告させていただきました。そして、法務局からのインタビューの連絡は7月5日にあった。そう、「国籍法11条1項違憲訴訟」の初公判が東京地裁で行われたその日だ。。。午前11時40分ごろに原告の自宅に法務局の担当官から連絡があり、原告母親が電話を取った。ところが、いまひとつ判らないところがあったので、翌日7月6日に原告父親が法務局の担当官に改めて連絡を取ると「インタビューをしたいので日程を決めたい。そして母親と父親に来てほしい。写真つきの身分証明書(在留カード、運転免許証)を持参してほしい。」ということだった。それで、7月13日(金曜日)午後3時にインタビューをすることになったわけです。さらに7月11日にはいくつかの不足する資料を用意してほしいとの連絡があった。母親の給与を支払ったことがわかる資料(会社の総勘定元帳の給料手当ての部分のコピーを持っていった)と三男の幼稚園補助金の支払関係がわかる書類(補助金支給決定書を持っていった)があったら持ってきてください。ということだった。

 

 それで、インタビューを受けたわけです。当日待合室で待っていると、担当官が来て「お父さんとお母さんと別々に面談をします。」「それでは、、、まずはお父さんからお願いします。」という形で、父親だけ別室でインタビューを受ける。まず、「日本に帰化したときにはロシア国籍を離脱することを誓約するという内容の書面」を作成させられた。書類はあらかじめ作られていて、日付住所氏名を記入するような内容だ。。。そしていよいよ、インタビューに入り、いろいろな内容について質問されるわけだ。。。

 と、その前に「日本に帰化したときにはロシア国籍を離脱することを誓約するという内容の書面」について説明しておこうと思います。

 この「日本に帰化したときには外国国籍を離脱することを誓約するという内容の書面」は事前に外国国籍を離脱することが出来ない人に求められています。そして事前に離脱できる人はどうなのかと言うと、事前にその外国国籍を離脱してもらうという取り扱いになっています。国籍法5条には「法務大臣は、次の条件を備える外国人でなければ、その帰化を許可することができない。」とあり、その条件の5番目には「国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によつてその国籍を失うべきこと。」とされているのです。具体的には外国国籍を事前に離脱可能な人については帰化手続きを進めて、帰化の内定が出た時点で法務省から各法務局に「本人に国籍離脱証明書を提出させるように」という指示連絡があります。そして、法務局から申請者に「法務省から、本国政府から国籍離脱証明書を取得して提出させるようにとの指示があったので,その旨を伝える。」という内容の文書が交付される。申請者はその文書をもって自国国籍を離脱するわけだ。なお、自分が得ている情報に拠れば、その文書には、「日本国が帰化を認める予定」などとは書かれていないそうだ。つまり、日本への帰化の確証なく一時的に無国籍となる。そして外国籍を離脱したという証明書を持っていくと日本への帰化が正式に許可されるという手順を踏むのです。ここでわざわざ「日本への帰化の確証なく一時的に無国籍となる」と書いたのは、その文書により実際に無国籍となった後に、日本への帰化が認められなかったという事例を自分は把握しているからだ。。。繰り返すが、その文書には、「日本国が帰化を認める予定」などとは書かれていないんだから。。。まさに、「外国人など煮て食おうが焼いて食おうが・・・」という日本という国の姿勢が現れていると思うのだが、普通の日本国民は本当にこれで良いと思っているのかねェ~。もっともほとんどの日本国民はこんな実体知らないんだろうが。。。

 ちなみに、今回のロシアの場合は、法的には事前にロシア国籍を離脱することは出来ないとされているので、「日本に帰化したときにはロシア国籍を離脱することを誓約するという内容の書面」を作成することによって日本への帰化が許可されるのです。

 ところが、この書面を作成することによって課されるのは外国籍離脱の努力義務だと一般的には理解されている。後日詳しく触れたいとは思うが、実際に帰化許可時に渡される説明書類を見ても、「重国籍となった方のみ」と但し書きがあり、「帰化の日から2年以内に(20歳に達していない方は、22歳に達するまでに)、次のいずれかの方法により、日本国籍の選択手続をしなければなりません(国籍法14条)。」とされており、その「いずれかの方法」とは、①外国国籍の離脱または放棄をし「外国国籍喪失届け」をするか、②日本国籍の選択宣言をし「国籍選択届け」をするか、と説明されてるのです。それ以上のことは書かれていません。説明書類には「外国籍の離脱を求める」とは書かれていないのです。それでは「日本に帰化したときには外国国籍を離脱することを誓約するという内容の書面」とはどういう意味だったのか?単純に国籍法に「日本の国籍の取得によつてその国籍を失うべきこと。」とかかれているからに過ぎないわけです。この文書が事実上形骸化していることは日本の行政も十分に理解しているのです。日本に帰化後、外国籍の離脱を認めるかどうかはそれこそ該当する外国政府の専権事項なのだ。日本政府がとやかく言うことが出来るものではない。何か言おうものなら直ちに外交問題に発展するだろう。だいたい「日本政府に外国籍を離脱するように言われたから離脱届を提出します。」ぐらいのことを言えば外国政府は日本政府による自国民に対する圧力だと理解する。「それは自身の希望(志望、真意)による自発的な国籍離脱とは言わない。」と言われて書類を突き返されることもあるのだ。。。

 

 というわけで、次回は、インタビューでの具体的やり取りについてコメントしてみようかと思います。