japaneserussiankids's blog

日露国籍問題-国籍確認訴訟から見えてくる国籍法11条1項の問題-

日本で生まれた日露カップルの子供の国籍問題について思う

 もう11月だなー。今年もあと2ヶ月か。。。

しかし何だねー。このところ日本で生まれた日露カップルの子供の国籍の問題がうちでも話題になっているけど。本当に大変な問題だね。

問題の詳細は、

ロシア国籍 子供の国籍 国籍喪失 国籍取得手続き 国籍選択

などのキーワードで検索してみてください。この問題に非常に詳しいページがいくつか出てきます。よく読んでみてね。

 確かにこれらのページの内容の通りで、日本で生まれた子供がロシアの国籍を取得したら、日本の国籍を喪失しちゃう。これね~、大変だよ!!!国籍がなくなっちゃうなんて一大事だよ!!!

 多分ね、こういう状態に置かれている子供は1000人ぐらい、またはそれ以上いるだろうね。週に1回、ロシア大使館で出生届け受付の日があるでしょ、予約をして手続きに行く訳だけど、東京のロシア大使館はいつも5組ぐらいはいるよね。うち半分ぐらいが片親日本人といったところかな。夏休みとかあるから、1年40週だとして年間100人、10年で1000人。

 

実際、こんな悲劇もあるんだから!!!

http://shoxay.hatenablog.com/entry/2013/06/21/093038

自分もこの1週間パソコンにかじりついていろいろ調べたけど、それで判ってきたこと。

 

 在日本のロシア大使館って、出生届(これでロシア国籍の取得を届け出たことになる)をロシア大使館に提出した時に、日本で生まれた子供が生まれながらにしてロシアの国籍を所持していないって説明していたのかな~?最近になって、在日本ロシア大使館に”日本国籍を喪失する”という内容の掲示が出たという情報があるけど、じゃあ、それまではどうだったかというと、説明していないよね。ほとんどすべての日本人親は生まれながらにしてロシア国籍が与えられていると勘違いしているんじゃないかな、というより、ロシア大使館側も、子供が生まれながらにしてロシア国籍を取得していないということをむしろ判らないようにしているフシもあるよね。これは、つまり、こういうことだと思うんだよね~。

 詳しい説明をしないというのは、ロシア側の自国民保護の考え方がベースにあると思うんだ。日露カップルが離婚したときを考えてみると。カップルの一方がロシアに帰国しようとするとき、子供にロシア国籍がなかったらどうする?ビザが無いとロシアに行けないんだよ。子供を日本において親の一方がロシアにすぐに帰れると思う?できないよね~。じゃあビザを取る?離婚してロシアに帰るんだよ!ビザを取るにはもう一方の日本人親の協力が無いと難しいのに。そりゃ円満に離婚して子供がロシアに行くことを同意していればいいさ。しかしね、そんな簡単なもんじゃない。この間の大震災の時だってそうだ、すぐにロシアに帰りたいロシア人親は沢山いた。ロシアの親戚もみんなで帰って来いというわけだ。だけど子供がロシア国籍を持っていないからロシア人親も含めてすぐにロシアに帰れなかった。そんな問題があるからロシア大使館は、子供にロシアのパスポートを取得することを、つまり出生の届出をしたほうが良いと言うわけだ。日本人親に対しては、ロシア国籍取得よりも、”出生届の提出”を強調するわけね。サインさせる必要があるからね。大体ね、在日ロシア大使館のホームページを見てみてよ。

http://www.russia-emb.jp/japanese/consular/service/family_register.html#Page05

”出生登録”だからね。”と・う・ろ・く”。普通ね、日本人だったら”登録”はしなきゃいけないもんだと思うってさ。それにね、まるで生まれながらにロシア国籍を持っているような表現でしょ、この文書。"日本の国籍と同時にロシア国籍も有することができます"とは書いてあっても、どこに”新たにロシア国籍を取得することになる”とか”日本国籍を喪失する”って書いてあるのよ!。しかも、”ロシア国籍所有申請は、ロシア人のみができます”と書いてある。日本人親の方は国籍取得の申請ができないの!つまり日本人親にはきちんとした説明をしなくても良いようになっているの!。まったく、冗談じゃない!!

 そりゃ、ロシア大使館に言わせりゃ、”うそは言っていません!”だろう。しかしね、出生届けにアポスティーユをつけて提出するんだから。。。そして日本人親には”あなたは子供がロシア国籍を取得することに反対しませんか?”ってサラリと聞いてくる。親は出生に伴ってロシア国籍を取得すると思っている訳だからね。それで”反対しない”といってサインしたら、国籍法11条に基づき、それでもう日本国籍は無いんだって。そもそも、”反対しない”のと日本政府の言うところの”自己の志望により外国の国籍取得に同意した”というのは同じ意味なのかね~。自己の志望じゃ無いんじゃないの?事実を知らされていないんだから。大体ね、ロシアで生活すると決めているなら日本国籍よりロシア国籍のほうが大切だよ。ロシアではね、日本国籍だけだったら、何でも外国人料金になっちゃうから、ロシア国籍無しではまともな生活できない。だけどね、日本に生活の基盤がある、生活の実態が日本にあるのよ!ロシアには生活の基盤も実体も無いの!日本国籍を失うことが判っていればサインしないよ、普通の親ならね。常識で考えてよね!よく判らないな~。なんかおかしいでしょ!!!

 

 この問題はね、本当に難しいよ。対応できる人がほとんどいない。自分も判らないことだらけだけど、深刻な悲劇が実際に起きているから、今、この文章を書いているんだけど、この問題の当事者には、早まった決断だけはしてほしくないと思う。

 

 ロシア国内法と日本の国籍法をそのまま解釈すれば、確かに、日本で生まれた日露カップルの子供は、ロシアの国籍を取得したときに日本の国籍を失う。これは確かだよ。そして、国籍を失っていることを親も本人も知らないでいるわけだけどね。

 だけど、だ・け・どだよ、すでに書いたような状態でサインして本当に日本の国籍を失うの?日本に現在住んで、学校や幼稚園に通い普通に日本人として生活している。しかもロシア国籍があるとはいえ、ロシアには生活の基盤も実体も無いわけだ。それなのに、国籍法11条があるから日本国籍が無いの?そりゃ、どっかおかしいでしょう!!!

 

 人間には基本的人権があります。

http://www.h3.dion.ne.jp/~urutora/kenpoupeji.htm

ね、憲法11条見てみてよ!!!国籍がなくなるって、何回も書くけど大変なことですよ!!!まあ、法律をそのまま解釈すれば日本国籍はありません。だけどね、その子供の基本的人権があまりに大きく損なわれるでしょ!しかもね、サインしたのは法定代理人ですよ、法律に基づいた法定代理人、だけど本人じゃない、こんな大きな、重大な決断を親とはいえ法定代理人がしてしまう。子供の意思とは関係なくね(子供って1歳にならないくらいだと思うから意思も何も無いけどね)。その是非はどうなのかという問題もある。つまりね、国籍法11条が合憲かどうかという話につながっていくと思うんだよね。

 

 パスポートを取得に言ったら発給できないといわれた!大変だよね~。日本人じゃないのに日本のパスポートを申請して発給を受けたからパスポートを騙し取ったと?使ったら行使か?旅券法違反?そりゃ日本人じゃなかったらね。日本人じゃなかったら旅券法違反ですよ。だけどね、旅券法違反にするためにはさ、日本政府が明確に”この子供は日本人じゃありません”と表現、決定しなきゃいけない。日本政府にそれができるか??難しいだろうね~。国籍法11条により国籍を喪失したとする前に基本的人権の壁がある。ロシア国籍の取得時の状況などを勘案すればなおさらだ。しかも、ここで考える問題に直面して、パスポートを使用している本人は、ほとんどの場合、自分が日本国籍を所持していないという自覚すらないわけだ。

 

 法務局に言ったら国籍喪失届けを出すようにといわれたと。。。。たぶん法務局側もこの問題はある程度把握しているはずだと思うんだよね。法務局の人間は公務員だよ!日本の法律に忠実に仕事をするわけ。法務局の人間に”そういう事情があるのを知っているから国籍喪失届けを出さなくても良いです”と言えと???まあ、無理だね。そんなこと言えるわけ無い。公務員なんだから。じゃあ、言われたとおりに役所に国籍喪失届けを出しに行ったとして、役所の人間がなんと言うか。公務員だからね。”私の子供、国籍喪失しちゃったので届けにきました”といって届けにきたら、なんていうか決まっているでしょ。公務員なんだから。。。事情を知っている、心のある役所の担当者が、役所の外に連れて行って”あんたねェ、子供の国籍喪失届けなんて出すのやめておきなさいよ”とでも言うと?言うわけ無いね。ちなみに、国籍喪失届けを出さないことによる罰則規定は無いんじゃないかな。なぜ、日本政府は罰則規定を設けなかったのか?と考えちゃうね。

  

 国籍喪失届けを出して次は出入国管理局だ。国籍喪失届けを出してあるからね、もう名実ともに、書類上も、つまり戸籍上も、ロシア国籍を取得したときにさかのぼって子供は日本人じゃないわけだ。現実に日本人じゃないって自分で認めちゃったんだから。入国管理局の対応はもう決まっている。事情が事情だから迅速に同情を持って親切に対応はしてくれるでしょう。だけど、不法滞在者ですよ。パスポートも不法に使ったことになるし。。。

 

 法務局に問い合わせている人がかなりいるようだけど、回答がばらばらで定まらないのは、言い換えれば、事情は知っているけど。。。国籍喪失届けを出さないでも良いとは言えないし。。。かといって国籍喪失届けを出せといって本当に出しちゃったら大変なことになるし。。。という葛藤があるような気がするのね。在ロシア日本大使館のホームページの記載を見てもね、”その取得状況によっては日本国籍が喪失している場合があります”と書いてある。つまり日本で生まれてロシアの国籍を持っていることが100パーセント日本の国籍を失っていることを意味しないと言うことだね。何らかの方法があるということだね。どういう方法があるのか在ロシア日本大使館に問い合わせてみるのもいいかもね。しかも、”書類を可能な限り持参願います”と、この部分にね、私は、役所としての葛藤の跡を感じるのね。心が表れていると思う。誰も子供が不幸な状況に陥るのを望んでいる人はいないと思うからね。

 

 法律はね、運用の問題があると思うのね。例えばさ、駅前の横断歩道を信号無視して渡ってきた人がいました。道路交通法違反です。そのまま駅の中に入っていこうとした、つまり逃げようとした。現行犯だからね、一般人にも逮捕権がある。私が違反者を逮捕しても良いわけです。どうなるか?社会が成り立たないって、そんなことしてたら。”私この人逮捕しました”って警察に言っても、警察だって困っちゃうって。警察官だって、信号無視を見て注意するとは思うけど、逃げようとしたからって逮捕はしないでしょ。

国籍選択の問題もそう、http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/081119_3.pdf

法務大臣は、国籍法15条1項に基づく国籍選択の催告は一度もしていない。その理由を聞けばこれもまたおかしな話だが、国籍法の一部はもう実態に合わないことを自分で認めるような内容だ。だから、結局は運用の仕方の問題ということになるんだと思うね。

 

 パスポートを申請したときに発給を拒否された人が出ているようだけど、国籍が無いからパスポートを発給できないといわれても、例えば、別の日に別の窓口担当者にあたったらOKだったとかあったかもしれないね。そのとき馬鹿真面目な窓口担当者にたまたま当たっちゃっただけでさぁ。あとは、住民票を移してほかの都道府県で申請したらOKだったとか。どうしてもだめな場合は、これはね、本当に国際カップルの場合パスポートが無いのは具合悪いから、ここで初めて、法務省日本国籍確認の申し立てとか、あるいは、日本国籍存在確認訴訟ということになるんだろうね。さて、弁護士の出番だ、国籍確認の申し立てならば比較的簡単だと思うけど、それでだめな場合は裁判となる。裁判の場合は最高裁まで覚悟しないといけないだろうね。だけどこの裁判はどこかのタイミングで行われるべきだと思う。その時は自分もいろいろな面で協力したいなぁ。ちょっと参考になるリンクを張っておきますので見てみてね。

http://www.gcnet.at/campaign/moshitate.htm

 

 私の周りにもね、今度の子供のパスポートの更新のときは、申請書の”現在外国の国籍を有していますか?”の欄で”いいえ”をチェックしようとしている人がいるのね。これはね、本当に慎重に考えてほしいと思う。これは現に旅券法違反だよ。親が”子供が外国の国籍を持っていないと勘違いしました”っていう言い訳は、こりゃ通用しない。だけどね、国籍を取得した日を勘違いすることはある。だって現実にほとんどの親が、”うちの子供は出生のときにロシア国籍を取得している”と思っているでしょ。誕生日に国籍を取得していなかったら、後からロシア国籍を取得したということだから、これは、パスポートの窓口担当者が”この人、国籍法11条に基づいて日本国籍無いかも”と考えて当然だよ。

 

 この問題はね、法律の運用の問題だとか、社会の実態や、ロシア大使館の対応の問題とか、基本的人権の問題とかが絡んでいるのね。これはね、司法書士行政書士では荷が重過ぎる。司法書士行政書士はね、法律に基づいて文書を作成するだけ。文書作成に関する相談は受けることができるけど(一部の法律事務も、本当に一部です)このような法律の運用や解釈の問題になると弁護士でなければだめ。そりゃ、司法書士行政書士は、すぐに書類を作りましょうって言うだろうね。そして、国籍喪失届け提出させて、帰化までの一連の手続き書類を作成してお終い。彼らはこれしかできないし、それに、商売だからね。お金もらえるんだから。彼らが”この問題はまず弁護士に相談したほうがいいよ”なんて言わないんじゃないかな。ここ1週間ぐらい徹夜でいろいろ調べたけど、私も素人だからね。この問題に直面している人は必ず”弁護士”に、それも、国籍や帰化、人権に詳しい弁護士に相談してください。参考までに、日弁連のホームページです。

http://www.nichibenren.or.jp/

 

 最後に、日露カップルの子供たちが、平安に安心して日本で暮らせることを、心から、本当に心から、願っております。

 

2018年1月10日追記

 本記事中のロシア大使館のサイトがリンク切れになっております。詳細は以下の記事を参照してください。

 

japaneserussiankids.hatenablog.com

2018年1月10日追記 終わり