japaneserussiankids's blog

日露国籍問題-国籍確認訴訟から見えてくる国籍法11条1項の問題-

コメント#55-日露国籍問題―国籍法11条1項を日本の国益という側面から考えるー

 

japaneserussiankids.hatenablog.com

  元記事 ↑↑↑ を必ず参照してくださいね~。この記事は元記事の続編です。右側の月別アーカイブ「2017」のところをクリックして日付順に読むと理解しやすいと思いますョ。

 

 もう1月も終わりに近づいております。。。1月22日には国籍法11条1項違憲訴訟の3回目の公判もありました。原告が提出した書面には国籍法11条1項の問題点が細かく、しかも合理的に説明されています。。。そうそう、前回のブログで触れた柳井健一教授の論文「国籍を離脱させられない自由-国籍法11条1項による日本国籍の剥奪-」が証拠として原告側から提出された。実に光栄なことだ。。。前回のブログ(コメント#54)にはその論文のリンクも張ってあるから興味のある方は是非読んでみてほしい。。。他にも原告側からは面白い証拠も出されているしねェ~。4月末の国側の反論がとても楽しみだ。。。そんな訳で国籍法11条1項違憲訴訟については後日、書かせてもらうとして、今日は国籍法11条1項の問題を国益という側面から書いてみようかなと思っています。。。

 

 簡単におさらいしておきますが、このブログのテーマとなっている国籍法11条1項。。。これは「自分の意思で他国の国籍を取得したら日本の国籍は自動的に喪失します。」といった内容であるわけです。自分の意志に関わらず“自動喪失する”というわけだ。。。表現を変えれば“日本国籍の剥奪”ということもできる。。。

 

 このことを説明するにはいくつか事例を出したほうが理解しやすいのだろうと思うのです。

 ノーベル賞受賞者に限った話しをしよう。イシグロカズオ氏(イギリス国籍)、南部陽一郎氏(アメリカ国籍)、中村修二氏(アメリカ国籍)。この方たちは法的には日本国籍者ではない。国籍法11条1項によって日本国籍を剥奪してしまった方たちだ。。。もっとも「何人目の日本人ノーベル賞受賞者」という形の報道でカウントされるところを見ると、多くのマスコミの報道によればこれらの方たちは日本人なのだそうだ。。。ちがうだろ!!!きちんと日本国籍を喪失したイギリス人、アメリカ人と報道して、これらの優秀な人材に熨斗をつけて外国にくれてしまった国籍法11条1項の問題点(国益の喪失)を報道すべきだろ。。。それとも記者クラブから締め出されるのが怖いのか?実際のところはよくわからんが。。。これらの人たちは自分の知る限りでは「日本国籍要らない」などと考えている人たちではない。「日本国籍を要らないといった覚えは無い」、「日本国籍を剥奪された」という発言は聞く。つまり、国籍法11条1項によって無理やり日本国籍を剥奪させられた人たちなのだ。

 それでは次は、経済界、教育機関の立場で考えてみよう。今、大学関係者などは経済界や行政などから世界に通用するグローバルな人材を育成するように要望を受けているというのだ。時代の流れや社会の動向から言えばもっともな話だと思う。。。多くの学生の中からグローバルな人材を育て上げるのは大変なことだ。教育さえすればグローバルな人間に育つわけではない。それでも日本の将来を見据えて、大変な手間と暇、費用をかけてグローバルな人材を育てるわけだ。。。そして当たり前な話なんだが、グローバルな人材の活躍の場は国内に留まらずに海外であることが多くあるのだ。そして、いろいろな事情の中で、外国国籍が必要となる場面があるわけだ。。。まさに、今争われている国籍法11条1項違憲訴訟の野川氏をはじめとする原告の皆さんもそういった方たちなのだ。しかも日本に対する思い入れはその辺の日本人よりよっぽど強い(このことについてはコメント#39、コメント#40も参照してみてネ)。。。

 ちょっと話は変わるが、投資移民という言葉を知ってるかい?これは、金持ちが移民として来るのは大歓迎ですよ、永住ビザも出しますよ、というプログラムだ。。。このようなプログラムは結構いろんな国が持っている。通常は家族も同伴でどうぞという形だ。。。そしていくつかこのプログラムには注目すべきポイントがある。犯罪者は許可されないし、健康診断を求められることが多い。簡単に言い換えれば、金のかかる病気などがあると許可されないのが普通なのだ(カナダなどの事例を参考にすればよいかな。。。)。つまり「金を持ってくるなら大歓迎。だけど、国にとって負担となるような人間、利益にならない人間は要らないよ。。。」というわけだ。そして移住が許可されて、実際に移住した人たちの内、かなりの数は永住権だけではなく、生活上の必要からその国籍の取得につながる人が多いのが実態で、結果、日本国籍は喪失させられる。。。

 

 そんな訳で、今回説明した方たちはまさに氷山の一角なのです。自分の同級生などでも優秀な人間に限って日本を飛び出して外国で活躍しているが、いろいろな状況(結婚や仕事、生活)の中で外国国籍を取得せざるを得ない状況に追い込まれる人が何人かいる(つまり自分が直接知っている人に限っても、、、ということだ。。。もっともそれ以前に、日本という国が、そういった優秀な人材に対して魅力的な国だったか?会社内の人事制度、評価制度であったか?という問題もあるわけだが、、、そうでなけりゃ、外国が選択肢には早々簡単に入らないだろ。。。日本には「出る杭は打たれる」とか、「能ある鷹は爪を隠す」とか言う格言があるが、、、全く損な話しだ。。。)。これは、日本全体で言えば膨大な数になるはずだ。。。当たり前な話だが、どこの国も優秀な頭脳はノドから手が出るほどほしい。その国の死活問題だからだ。いろんな条件を出す、それは金かもしれないし、研究環境だったり、大きな仕事だったり、名誉だったり、などなど。。。そして本人にしてみれば、それらの飛躍のための環境づくりの一つの結論として外国籍の取得が必要になったとか、またはダイレクトに条件として外国国籍の取得があるわけです。やむを得ず外国国籍を取得した結果、日本国籍は本人の意志に関わらず剥奪されるわけだ。。。その一方で、日本が単純労働者の受け入れだけは積極的って、一体何なのコレ。。。

 

 こんなことはわざわざ言うまでもないことなのですが、日本は世界を相手に稼がなければならない、つまり国力を維持しなければならない立場に置かれています。。。今、この時代に於いて、日本は鎖国して生き残れる国ではない。世界に出て行って利益を引っ張ってこなければならない。。。そのためには優秀な頭脳やグローバルな人材、資本が絶対に必要不可欠なのです。。。ところがそれらの優秀な人材をみんな外国に取られてしまう。。。

 ネット上のコメントなどをざっと見てみると、日本は二重国籍を認めていないとか(実際は一定の条件下で認められている。)、国籍法11条1項の合理性(実際は不合理、後日このテーマに触れようと思うが、国籍法11条1項違憲訴訟の原告側1月22日書面でも詳細に、理路整然と説明されている。)を無条件に信じている人が居るようなのだが、外国とグローバルに交渉して稼げる人間や、優秀な人間をみすみす外国にくれてやるというんだから、、、下品な言葉は使いたくないが、そりゃ本物の「バカ」ってモンだと思うねェ~。いわゆる保守を標榜する輩に多いのだが、まさに「愛国者の皮をかぶった売国奴」というべきだ。。。

 優秀な人材の奪い合いをするというならまだわかるんだが、奪い合いをするではなく、外国から「この優秀な人材はオレのだ。」といわれれば、「ああそうか、じゃあくれてやる。持ってけ。。。」というのが国籍法11条1項の正体なのです。自分はこの法律が日本の国益となることは決して無いだろうと思うのです。。。

 

 というわけで、次は現在争われている国籍法11条1項違憲訴訟について書いてみようかなと思います。それではまた。。。