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日露国籍問題-国籍確認訴訟から見えてくる国籍法11条1項の問題-

コメント#19-日本で生まれた日露カップルの子供の国籍問題について思う(2016年5月15日コメント)

 

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 元記事 ↑↑↑ を必ず参照してくださいね~。この元記事についていたコメントをそのまま転載したものです。右側の月別アーカイブ「2017」のところをクリックして日付順に読むと理解しやすいと思いますョ。

 

 それでは今回は国側の裁判における対応について書いてみようか。

 第1回公判は2014年12月に行われた。国側の書面(答弁書)が出てきたわけだ。内容としては“答弁は留保する。”との1点のみだった。
 つまり、原告が日本国籍を喪失しているとも言わないし、保持しているとも言わないということだ。その理由は主に二つあった。
1. 訴えの利益がない。
2. ロシア連邦に対する手続きの有無が確認できない。
 まァ、2.についてはだ、国側はつまり“ロシア連邦に対してどの様な手続きをしたのかがわからないから日本国政を失っているか、いないかといわれても答えようが無いんだよなァ~、なんかロシアから出てきた文書とか、パスポートとかさァ、わかるもん出してよっ!つまり証拠!!“といっている訳だ。いや~、こりゃもっともな御指摘だ。原告側ももうちょっと十分な証拠を念入りに揃えないといけなかったよなァ~。だけど、まァ、次回公判までに出すから、ちょっと待っててね。って言う話で、内容としては簡単なことだ。
 問題は1.の“訴えの利益が無い。”と言う部分。
 裁判って言うのはねェ。例えば、“勝訴したらなんか明確な利益がある”と言う状態で無ければならないって言うんだなァ~。訴えの利益が無いと判断されると、その訴えは却下される。言い換えれば“裁判をする価値が無いでしょ~”って言うわけだ。。。当然、原告が日本国籍を失っているか、あるいは保持しているかの判断はされない。。。つまり、国側が言うには“法務省から国籍喪失届け提出しろって言われたの?言われてないでしょ~”、“パスポートの発給拒否された?拒否されてないでしょ~”、“戸籍、住民票抹消された?抹消されてないでしょ~”、“それじゃ何の不利益も無いじゃないの!!どこに訴えの利益があるのよ!!!だから裁判にならないんじゃないの?”ということを言っているわけだ。まァ、自分に言わせれば、他の同様の状況にある子供たちをみんな国籍喪失したとして取り扱っておいて、どの口が言うのか!!というところなんだが。。。
 と言う訳で、国側からは2点の求釈明があった。1)日本国籍を喪失したとして取り扱われた事実の有無。2)ロシア連邦での手続きの事実。以上、2点を明らかにせよ、と言う内容だった。
 更に裁判長からは、“ロシア政府に、手続きのこと、はじめから無かったことにしてもらえないもんかね~“なんていう話もちょっと出たもんだから、原告側でその確認もしたほうが良いと言うことになった。

 まァ、この第1回公判の内容を読んだとき、自分は、この裁判、勝算は十分にあると感じたね。。。なぜか?この裁判が行われたら、必ず判決が出される。その判決は、“日本国籍を保持している”か“保持していない”のどちらかしかないのだ(実際は国側が勝訴するのはかなり難しいだろう。このことは国側も十分に理解しているはずだ。。。)。この裁判の判決には中間が無いんだから。それでも、国側としては地裁で“日本国籍を保持していない”と判断されれば、まァ、一応は勝ちなんだが、その場合、国側は、原告の戸籍を抹消しなければならなくなる。(このことは面白い後日談があるのだが、機会を改めたい。)だって法律がそのように出来てるんだから。。。それで、原告は当然黙ってない、判決後に更に高裁、最高裁と裁判が進められることになるわけだ。ここで、一転、原告勝訴にでもなってみィ。イヤー、こりゃ大変だ、国にとってはなァ。。。一方で、日本国籍を保持しているとなれば、今まで帰化させてしまった子供たちはどうだったのかと言うことになる。どっちに転んでも国側は大変なわけだ。ちなみに原告側の立場で言えば、極端な話し、どっちに転んでも良いのだ。勝訴すれば良し、敗訴すれば(最高裁でと言う意味だ)帰化すれば済む話、それだけの話なのだ。むしろ、国籍喪失届けを提出する手間が省けるというものだ。原告父親がこのブログに以前コメントしていたように、「敗訴したところで、現状と同じ状態。その場合はきちんと帰化して、子供がこの問題を正しく理解できるようになったときに事実を話せばよい。“おかしいと思うから最高裁まで戦ったが敗訴した。だから、一時期日本国籍が無い時期があるのだ。”と説明して、子供に謝ればそれでよい。」と言うことだ。子供から見ても、その辺の中学校の社会の教科書よりよっぽど良い教材となるはずだ。
 まァ、結局のところ、裁判は実際に提起されたわけだから、本来国側の立場で言えば、最高裁で国側が勝訴すればいいんだよ、、、ところが国側は勝訴する自信が無いわけだ。(勝訴したところで別の問題が噴出するという実態もあるが、、、)だから判決を得ない方法を考えた。それがつまり、“訴えの利益が無い”と言う主張につながるわけだなァ。
 この“訴えの利益が無い”と言う国側の主張は、原告からすれば崩すのは簡単だ。例えば、電話で法務省に確認するとか。。。もっと明確にするには、原告のパスポートを申請して、窓口担当者に“国側はこういう立場だからね~”と口添えした上で発給を拒否させるとか。。。だけど、これはちょっとイジワルではないかと言うことで止めたようだが。。。(結局のところ、“訴えの利益が無い”と言う主張が通らないのは裁判所も国側も承知していると考えたと言うことだ。)まァ、国側はそんな無茶苦茶な主張を持ち出すほど困っちゃったということなんだと思ったねェ~~~。だからさァ~、2013年11月の原告父親の相談に真剣に耳を傾けておけば良かったんだってさァ。そうすれば、あの時点ではこの問題について国側の立場でも合理的な説明をすることが出来たんだから。。。つまり墓穴を掘ったということだ。

 そういうわけで、第2回公判は2015年2月に行われ、原告側が原告準備書面(1)としてこれら国側の求釈明への回答をした。ロシアパスポートやロシア側から出てきた書類などの証拠も追加で提出した。これでいよいよ本題に入ることが出来るわけだ。
さ~て、次は被告が主張する番だ。第3回公判は4月に行われ、被告準備書面(1)が提出されることになるわけだが、これ以降のことについては次回触れることにしようかなァ~。