japaneserussiankids's blog

日露国籍問題-国籍確認訴訟から見えてくる国籍法11条1項の問題-

コメント#12-日本で生まれた日露カップルの子供の国籍問題について思う(2016年1月31日コメント)

 

japaneserussiankids.hatenablog.com

 元記事 ↑↑↑ を必ず参照してくださいね~。この元記事についていたコメントをそのまま転載したものです。右側の月別アーカイブ「2017」のところをクリックして日付順に読むと理解しやすいと思いますョ。

 

 じゃあ、今日は日本国籍を喪失したとして扱われて帰化させられちゃった子供たちについてちょっと書いてみようか。

 と思ったけど、ちょっと待ってネ。
 すでに書いた文章について修正を加えておきたいところがあります。以前書いたコメントの中で1985年以降この問題が発生していると書いたところがあるのね。コレ、誤解していた部分や、誤解を招く部分があったので訂正したいと思います。1985年以降とは日本側の法律から見て1985年以降この問題が発生したと言う意味ネ。この年の国籍法改正までは外国人との間に生まれた摘出子の場合、父親が日本人の場合のみに日本国籍が与えられた(つまり父系血統主義、1985年の改正以降は父母両系血統主義となっている)。従って、1985年の改正以前に、母親が日本人だった場合の子は、最初から日本国籍者ではないと言うことになり、つまりこの問題の対象外。そして実際は、当然ロシア国籍法(1991年のソ連崩壊以前はソ連時代の国籍法)の影響を受けるわけです。ロシア国籍法(旧ロシア国籍法)はソ連が崩壊した後のことだから事実上1991年以降。そして、このブログは基本的に2002年に改正された新ロシア国籍法を基準に考えています。なお、旧ロシア国籍法も法律の仕組み自体は2002年の改正でも変わらないとされていますので、この問題が存在していると考えるべきかと思う。そして1991年以前、つまり、ソ連時代の国籍法については別途、慎重に法律の調査をする必要があります(もちろん旧ロシア国籍法もね)。そして、これは何回もこのブログ、コメントで書いていることですが、私は法律家ではありません。法律のド素人ですので、詳細はちゃんと弁護士に相談するようにお願いしますネ。

 と言うわけで本題に戻ろうかな。
 自分の考え方によれば、この問題で、国籍法11条1項を正しく解釈すれば、この問題の子供たちは日本国籍を喪失していないことになる。例の行政書士さんの言うような“客観的真実的に親が「外国国籍取得の認識・認容」をしているケース”はほとんど皆無であるはずだ。そういうケースがあるとしたら、それは、ロシアに移住する決断をしているケースに限られると考えられるからだ。それを喪失したとして、不法滞在者扱いにし、一時的にせよ拘留され、取調べをし、そして日本に帰化させる。コレ、言ってみれば冤罪だよ!と言うより、冤罪そのものでしょ!!!入管の取調べで、自分の意思で外国籍を取得したことを認めるという書類に法定代理人はサインさせられるわけだ。実際は違うのに。まァ、ロシア国籍を取得しようと思って手続きしたわけではないと言って、その書類にはサインできませんと言った人間を具体的に知っているけどね、2013年の末から2014年の初めにかけての話だ。中にはそういう人もいるんだよ。そしたら入管の職員は、それでは、その書類が無くても良いから手続きを進めましょうと言ったとか。。。(国側の主張に沿ったときだけはこれまたやけに融通が利くもんだ。。。)だけどここでね、例の行政書士さんが触れていない大きな問題が発生する。ここで、自分の意思で外国籍を取得したことを認めるとは、すでに触れた、旅券法違反が故意犯として成立すると言うことを意味するんだよ。自分で故意犯だったと証明しちゃうんだから。もっとも、それで検挙、立件されるようなことは無い筈だがな~。なんたって、もともと事実とは違っていても、自分の意思で外国籍を取得したことを認めるという書類にサインをしろというのが国側の要求で、しかも、その要求を飲まざるを得ない事情もあったわけだから。

 だけどこれはねェ~、本来日本国籍を喪失していない子供を、喪失したことにして、さらに、法定代理人故意犯に仕立て上げてしまうと言うことだ。これさァ、詐欺で金を取られた人が、その金を取り返してあげますと言われてまた詐欺の被害に会う、このパターンと同じなんじゃないのかね~。

 そして、非常に重要なことだから、ここで特に触れておくが、今回の裁判に先立ち、多くの人が裁判に参加するのをあきらめたと言う事実がある。国側の主張には納得がいかないが、国籍喪失届け提出、そして帰化と言う手続きを選択せざるを得なかった人が非常に多かったのである。例えば、海外転勤の可能性がある、ロシアにいる親族が病気である、子供が学校の修学旅行で海外に行くことになっている、などなどだ。裁判を行うと言うことは、国側の主張に拠るところの、不法滞在の外国人であることを明らかにするということだ。日本のパスポートは使えない。場合によっては国外退去。あるいは、一旦海外に行ったとして、不法滞在者としての記録があるため一定期間日本に帰国できないことを意味するからだ。これは、裁判終結まで、数年間に渡って海外にいけないことを意味する(行政事件訴訟法44条も参照されたい)。このことは、海外に親戚がいるこの問題の該当者から見れば、事実上選択肢が無いことを意味する。裁判を受ける権利など、この問題に関しては保障などされていないのだ。

 他にも、この問題の対応として、ロシア国籍を離脱してしまう事例も多かった。コレについては次回書きたいと思う。
 それとね、先日、裁判では原告の父と母の審問が行われました。その内容は2月中旬以降、文書で明らかになるようだ。そしたらまた色々な事がハッキリしてくるんじゃないかな。それじゃ、また。