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日露国籍問題-国籍確認訴訟から見えてくる国籍法11条1項の問題-

コメント#36-日露国籍問題-外務省「領事の手帳」から見えてくる日本行政のロシア国籍制度に対する誤解と認識(2)-

 

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   元記事 ↑↑↑ を必ず参照してくださいね~。この記事は元記事の続編です。右側の月別アーカイブ「2017」のところをクリックして日付順に読むと理解しやすいと思いますョ。

 

 それでは、今日は前回の続きを書きたいと思う。もうちょっと深く考察してみよう。

 

 と、いうわけで、外務省のホームページに掲載されている「領事の手帳」に登場する「一人娘」の家族の状況、置かれた立場を考えてみたい。

 

 前回に引き続き整理をしてみる。

 ①ロシア大使館に対して「一人娘」の出生届出がされていない。もしかすると、これは、婚姻届(離婚届)の手続きは日本法によってのみ行われており、ロシア大使館へ婚姻届出すらもされていなかったのではないか?(日本人男性の中でもズボラな人間はいるし、そして、このようないい加減な対応をするものだ。。。)ロシア側に婚姻(離婚)の届出もされていないのだから、従って、母親のロシア国内パスポートには婚姻(離婚)の記録は残されていないと思われる。このような状態だから「一人娘」の出生登録はもちろん、在日本ロシア大使館での出生証明書の翻訳もされていないのだろう。この状態は、ロシア側から見ると、「一人娘」とロシア人母親の関係が一切不明であるということを意味する。一方で、文章の内容からは「一人娘」は日本人父親の戸籍に記載されていると考えられる。つまり、日本人であることが明確な「一人娘」なのであるが、その「一人娘」がそのロシア人母親の子供であるとの確証が得られないため、ロシア側への出生登録、つまり、国籍取得手続きを進めることが出来ない。(そりゃ~さァ、在日本ロシア大使館が口すっぱく「出生届けを出しなさい」というわけだネ。)

 ②従って、ロシア側は、日本国籍の離脱の証明を求める。ロシアの行政は「一人娘」が日本国籍者であることは把握しているのだ。ロシアの行政から見れば、一人のロシア人女性が親子関係の判然としない日本国籍保持者である「一人娘」を勝手にロシアに連れてきちゃった、という状態なのだ。。。ところが、その「一人娘」が、現在、無国籍である事が確認できれば、ロシアへの帰化手続きは進められる。ロシア側から見て法的に親権を主張できるのは、国籍、両親不明の「一人娘」を連れている一人の女性、つまりロシア人母親のみとなる。日本側から見た日本人親の親権なんかは、ロシアから見たらそんなモン関係ないわけだ。日本側がどう騒いだってロシア側は完全無視に決まってる。だって、その「一人娘」は無国籍になっちゃったんだから。そして、日本の行政から見れば、当時は「一人娘」が二重国籍であるという認識だから、日本国籍の離脱は可能であるとの判断もロシア側にはあるのだろう。

 ③恐らく、ロシア人母親は、日本に於いて「一人娘」を出産、国籍法二条1項により日本国籍を取得、父親の戸籍に登録された。一方で、ロシア大使館への手続きは一切されなかった。それでも、母親はロシアの親戚に子供を会わせたいということになる。そういうわけで、父親の手続きで「一人娘」の日本のパスポートを申請、取得し、ロシアのビザを在日本ロシア大使館で取得したのだろう。ロシア人母親と「一人娘」はロシアに渡航、「一人娘」は日本人としてロシアに入国、そして、日本に馴染めなかったロシア人母親と「一人娘」は日本に帰ることは無かった。ロシア人母親は、「一人娘」はロシア国籍も出生に伴って自動的に取得していると思い込んでいるため、あるいは、ロシア当局に指摘されて事実に気がついたとしても、ロシア人母には為す術はなく、そのまま「一人娘」はロシア国内でオーバーステイの日本人となり、日本人父親とは音信不通となる。

 

 まァ、この母親は「一人娘」が当然ロシア国籍も生来取得していると思ってロシアにつれて帰ったわけだ。そこで、帰国後ロシアの行政に相談した。ところが、ロシアの行政はその「一人娘」がロシア国籍保持者だと認めない。きっと、母親は混乱して理解できなかっただろう。。。そりゃ、そうだ、日本国内での常識と全く違うんだから。。。そうこうしているうちに7年経過し、学校に通う年齢になっていろいろな問題が噴出してきた。ロシア人母親はどうしようもなくなって、ロシア当局に何度も相談したわけだ。そして、ロシアの行政は知恵を絞り、日本国籍を離脱すれば解決すると母親に教えた(恐らく、ロシアに帰化すればよいということも教えたはずだが「領事の手帳」からはその内容が漏れた。なぜなら、在ロシア日本大使館自身が「一人娘」は日露の二重国籍だという認識であり、「ロシアに帰化」という発想を持ち得なかったからだ。)。。。つまり、そういう経緯なわけだ。。。それで、日本国籍離脱のために、あるいは、ロシア国籍取得(出生登録)のために、日本人父親に連絡を取ろうって言ったってうまくいくわけ無いわネ。。。何たって、里帰りと言ってロシアに渡航したまま「一人娘」ともどもそのまま帰らないんだから。。。そりゃ、ロシアへの出生届けのサインどころじゃなくなるし、仮に、出生証明書を送れとか、戸籍謄本を送れとか言ったってさァ、送るわけ無いって。。。

 

 そういうわけで、在ロシア日本大使館に相談したわけだ、そのロシア人母親は。。。「ロシアの行政は「一人娘のロシア国籍を認めない」と言っているんです」って言ってさァ。。。一方で、在ロシア日本大使館の認識は、当時、あくまで「一人娘」は日露の「二重国籍」だ。在ロシア日本大使館から見て、突然、失効(あるいは、日本のパスポートは在ロシア日本大使館で更新できるが、このケースでは日本のパスポートの更新はしていないだろうと思われる。)した日本のパスポートを所持する「一人娘」の母親だと主張する訳のわからないロシア人女性が訪れてきて、ロシア当局は「一人娘のロシア国籍を認めないと言っている」とか「ロシアに帰化すれば良いと言われた」などと説明したところで、「この国ロシアは昔も今も大きく、複雑で、難解」だと考える在ロシア日本大使館は、そのロシア人母親の主張を「日本国籍を離脱したとの証明書がない限り、娘を外国人として扱うと母親に申し渡し」ている、と表現することになる。決して「それならばロシアに帰化したらどうですか、父親のサインが必要ならば説得しましょう。」という事実に基づいたシンプルな表現にはならないのだ。

 

 と、まあ、これが自分の想像する「一人娘」の家族、そして、在ロシア日本大使館の認識の実態だ。。。この想像が当たっているかどうかは知らないが、大きく外しているとも思えない。。。他にどんな状況が想像できる???自分には思いつかないなァ。。。